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COLUMN
2017.05.23

観るときはひとりぼっち2[writter]きわみ

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2017年

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』の舞台が2015年だったということで現実世界との答え合わせ的に人気再燃で楽しまれたものでしたが、未来へ帰れという作品のタイトルもむなしくそんなフィーバーなどもはや忘却の彼方です。

 次あたりに控える大物は2019年の『ブレードランナー』あたりでしょうか。とはいっても盛り上がるかどうかは続編の出来も左右するでしょうし、そもそも2年も待ってられるかというせっかちな声もあるに違いありません。

 ではいま現在の2017年が舞台の作品といえば、それはもう『チェリー2000』です。有名大作映画ではないとはいえ、メラニー・グリフィスやローレンス・フィッシュバーンなんかも出ていますが、興味ないと言われたらもうどうしようもないです。

 1980年中盤の時代から夢想した30年後の世界。世紀どころか千年紀をもまたぐともなればちょっとした未来でも余計に遠くに感じたに違いなく、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』や『ブレードランナー』なんかは少しばかり未来観が勇み足気味でした。けれどもこちらは低予算のせいかどうかは分かりませんが、身の丈にあっていると言えなくもない。

 

チェリー2000 

 パリッとした身なりのいかにもヤンエグ野郎風の男が帰宅するや、さっそく金髪美女と濃厚なラブシーンをおっぱじめます。ムード満点で泡だらけになったところであたりに立ち込めだす煙。ところで突然話は変わりますが、淡路島の秘宝館に行った際に得た知識なんですけれど、女性がアノ際に出す声の第五位は「こげちゃうー」なのだそうです。そっち方面には詳しくないので真偽のほどはわかりませんが、たぶん適当なでまかせだと思います。そんな声聞いたことないし。しかし画面の中では今まさに女性が煙を出し始めているではありませんか。映画とは言え、まさかこげちゃうところを見る日が来ようとは!と真剣に期待したのですが、どうも様子がおかしい。ショートして壊れています。驚くべきことにこの女性がアンドロイドのチェリー2000だったんですね。泡なんかにまみれているからいけないのです。

 ヤンエグ野郎は何よりもチェリーちゃんを愛しているようで、なんとか直そうと試みるのですが残念なことにもはや生産終了しているようで手の施しようがないという。でも危険区域に行けば、もしかしたら新しい体が手に入るかもしれないということで、覚悟を決めてマッドマックスっぽい地域に旅に出ることにするのでした。こういうような、失ってしまった者を取り戻そうと旅に出るようなストーリーを聞いたら(たぶんたくさんある)、知った風な顔してすかさず、これはつまり「ダンテの新曲」の換骨奪胎ですね、などとわかったようなハッタリをかましたら頭が良さそうに見られるかもしれないのでオススメです。

 記憶のデータさえ残っていれば、新しい体に移し替えて元通りになるので無くさないよう気をつけろというのが、まだまだパソコンが一般的ではない公開当時としては早いほうだと思います。けれども何より感動的なのは、ここぞという場面でチェリーちゃんの声を再生させてオレがんばるよ!みたいな描写で、現代日本における声優・ボカロ萌えを予見しているといえるでしょう。最近の映画でいえばOSの人工知能に恋をする『her/世界でひとつの彼女』という作品もありましたけど、残された声を聞くだけのこちらのほうがより切実です。本物よりも造り物(二次元含む)の女性あるいは男性のほうが大事という人がいてもそれほど奇異に思わなくなった我々にとって、これほど身の丈にあった未来予想がなされた映画は無いかも知れません。

 そういえば、メラニー・グリフィスは危険区域のガイドで主人公の相棒です。チェリーちゃんではありませんのであしからず。

 

 

最近のシネマルナティック

 シネマルナティックで独占公開されたことが一部で話題になっている『チョコレートデリンジャー』。10年という歳月をかけてようやく公開にこぎつけられた執念の映画です。上映にこぎつけはしましたが、しかし完成はしていない。バージョンアップし続けるという、良かれ悪しかれ非常に稀な上映形態となっております。これまでレイト公開のみだったゆえに観に来られなかったという声にお応えして、朝の上映会が「第13回ジャスティス映画学園in松山」として5月23日火曜日の午前10時30分から開催されます。

 どんな経緯で始まったのか思い出せない「ジャスティス映画学園in松山」シリーズ。漫画家であり文筆家であり映画監督であり他にも何かある杉作J太郎さんを中心としたトークイベントというか、濃密な時間というか。あまりにも濃密なせいか、ためになるお話を大量に聞いたにもかかわらず、次の日にはその大半を思い出せないこともあるぐらいです。サービス精神からか他所ではしちゃいけない話、ここだけの話なんかもしょっちゅう出てくるので、忘れるくらいが丁度いいのかもしれませんが。

 決してあやしいイベントではないので、気になった方は参加をしてみてはいかがでしょうか。

 平日の昼間ですけれど。

きわみ

シネマルナティック周辺人

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