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COLUMN
2017.03.24

バック・トゥ・ザ・カルチャー 01 1988年のボビー・ブラウン[writter]西森 路代

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01 1988年のボビー・ブラウン

マチボンでコラムを書くことになって、すでに松山を離れて15年になろうという私が、続けて書いていけるテーマって何だろう……と考えて思いついたのは、松山にいたとき、たくさんのカルチャーに触れたことを書けばいいのではないかということでした。

といっても、その頃はインターネットもなかったため、本屋(明屋書店がメイン)にいったり、CDショップに行ったり、テレビを見たり、映画館に行ったりして得たものがすごく大きかったのではないかという思いに至りました。

というわけで、松山に居たころのこと、そして東京に出てから、私が触れてきたカルチャーについて、いろんな時代を行ったり来たりしながら書いていきたいと思います。まあなんでもありってことですね。

MTVとベストヒットUSA、必死で見た洋楽番組

中高校生の頃の私はというと、家に帰って洋楽の番組を見るのが好きでした。今の様にインターネットもない時代。しかも、その頃の松山には南海放送とテレビ愛媛とNHKしか映らず、私の家ではTBSを見るときは、山口から飛んでくる電波を頼りにしていました。

地上波で洋楽が見られるといえば、当時であればセーラさんという女性と、今でもご活躍のマイケル富岡さんが大股開き(私のマイケル富岡の印象はそれが一番デカかった)でVJを務める『MTV:Music Television』と、『ベストヒット USA』の二本でした。しかし、その二本が見られるというのは、恵まれた環境だったのかもしれません。

それ以外にも洋楽を求め、私はNHKのBSやWOWOWでやっている音楽番組も録画しては見ていました。録画したら、好きなミュージックビデオだけをダビングしたり。なんだか、涙ぐましいことをしていた気がします。

アイドルはニュー・エディション

高校生になり、アイドル的に好きになったのは、今やホイットニー・ヒューストンの元旦那というイメージの強いボビー・ブラウンでした。もともとは、ニュー・エディションというグループのメンバーだったボビーはソロになって大ブレイク。

実はニュー・エディションのセンターはラルフ・トレスヴァントというメンバーが担当していて、ボビーは二番手だったんです。私の当時の記憶、と言っても、追い始めたのがボビーがソロになった後の記憶なのですが、ラルフは歌声も繊細で王子様的な雰囲気があり、『花より男子』で言えば花沢類タイプ、ボビーは粗野な感じが道明寺司のようでした。また、リッキー・ベル、マイケル・ビヴィンス、ロニー・デヴォーという、美作と西門+1みたいな存在だった三人も、ベル・ビヴ・デヴォーというユニットで活動。キャッチ―なメロディと肩の力の抜けたノリt、タッタカタッタカタカタッタ♪というイントロがかっこいい「ポイズン」という曲は、どこかで聞いたことがある人も多いのかもしれません。

そして、ボビーに変わって新加入したジョニー・ギルは、ボビーともラルフとも違って、低くて野太い声で歌うワイルドで年齢不詳なキャラクターでした。

今でこそ、アイドルそれぞれのキャラクターが際立っていて、それを楽しむなんてことは当たり前ですが、当時もそんな風に彼らを捉えていたのだなと、今になって思います。

当時の私は17歳とか18歳で、彼らはものすごい年上のように思っていたけれど、学年で言えばたった3つ4つしか違わず、二十歳そこそこの青年でした。後になって、当時のミュージックビデオを見たら、なんだぜんぜん少年っぽかったんだと思ったし、歌詞も意外とおさなくてせつなかった。わりと、この原体験が後のアイドル感にもつながっていると思います。

ブルーノ・マーズによって再評価

ボビーやそのほかのメンバーは、キャメオのラリー・ブラックモン、ベイビーフェイス、テディ・ライリーなど、そのときどきの一流のプロデューサーを起用していたため、私は、どんどんこのジャンルに深くはまっていきました。

実は彼らは、今でも緩く一緒に活動をしています。ベル・ビヴ・デヴォーは今年に入ってニューアルバムをリリース、しかも、ニュー・エディションの伝記ドラマ『The New Edition Story』もアメリカで放送され(これは、N.W.A.の自伝的ストーリー『ストレイト・アウタ・コンプトン』の流れでしょうかね)、大反響だったそうです。当時、喧嘩したこと、追い出されそうになったメンバーを、ほかのメンバーが説得したことなどが描かれてるとか。ボーイズグループの中のリアルな関係性が見られるという意味でも、アイドル全般に対してのファンとしてたまらないものがあります。

ニューエディションは活動再開の予定もあるそうですが、ブルーノ・マーズが、この時代へのオマージュをしていることも後押ししているのでしょう。

私は上京してから、一度だけ生の彼らを見たことがあります。2008年にボビー・ブラウン、ジョニー・ギル、ラルフ・トレスヴァントという、同時にはグループにいなかった三人が一緒にビルボードライブ東京にやってきたのです。

会場は、当時を思い起こしているお姉さんやお兄さんたちがいっぱいでしたが、そのときは、懐かしいという気持ちしか私には芽生えませんでした。それは、彼らの時代がまだ半周しかまわってない感じがしたからでしょう。

流行なんかも、半周しただけだとちょっと受け入れがたいけど、一周したら新鮮でかっこよく見えるもの。今だったらきっちり一周している感覚があるから、ニュー・エディションが活動をしたら、また違ったかっこよさと、自分もええ年になったわーという感覚を持つのかもしれません。

西森 路代

西森 路代

フリーライター。TBSラジオ文化系トークラジオLife出演。WEBRONZA、TVBros.などで執筆。連載は日経WOMAN ONLINE、月刊サイゾー、messyなど。本は「女子会2.0」「K-POPがアジアを制覇する」

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