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COLUMN
2017.11.20

ホホホな日々vol.7[writer]豊島吾一

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「ぼくらの市民会館」を振り返る

「ぼくらの市民会館」が終わりました。

初めての企画を実施すると、いくつもの新しい体験や新しい考えが浮かび上がってきます。今回もとても面白い体験ができたので振り返りつつ、ここに記してみたいと思います。

ハズミズムが終わってからずっと準備して来たこの企画の主旨は、今治市のまさに中心、市役所の敷地にある歴史的な建築「今治市民会館」を新しい使い方で遊ぶことで、その存在を違う価値観でとらえなおすことでした。

開催してみて、お客さんの数は目標よりも少なかったのですが、参加者の反応はというと、僕が主催している音楽フェス「ハズミズム」への反応と同じか、それ以上に「楽しかった!」「企画が素晴らしかった!」「ステージの装飾が美しかった!」という声をたくさん頂くことが出来ました。その反応の鮮やかさは驚くほどでした。

改善点はいろいろあるものの、それらもすべてクリアに見えているので、次回開催への不安や障壁は何もなくなったと自信を持って言えます。これから今治市民会館が違った輝きを放ち始める準備は充分に出来たと感じています。

 

市民会館なんか壊せばいい。

この企画を発表してから、いろんな人からいろんな意見が出たことはとても面白かったです。

今回の主旨である「市民会館を残して使いたい。」を伝えると、何人かの年配の方からは「あんなものさっさと壊して駐車場にすればいい。」「あんな古くて汚いもの誰も残してほしいと思ってない。」という声がありました。その語り口は「それが普通の考えだ。」という感じです。「歴史的な建造物」より「駐車場」を優先したい。決して批判ではなく、そういった意見の方と「普通」を共有することの難しさ、これはけっこう衝撃的でした。

僕は「古くて汚いものは壊し、新しいものに変える。」という考え方ってとても危ないじゃないかと感じます。僕ら人間も年を取り、古くなっていきます。その時自分が歩んできた人生を考慮せず「君はもうずいぶん年寄りで汚いね。そろそろ消えてくれた方がいい。」といわれる。そんな社会に安心や豊かさがあるとどうしても思えません。

自分と違った意見を持ったおじいちゃんも、やはり社会の中で大事な存在であり、その存在を尊重し守ることが将来的には自分が社会の中で大事にされることにつながるのではないかな?と思います。

 

いつもの市民会館の姿

一階のロビー。天井の梁が力強い。普段はほとんど人気がない。

 

市民会館のピアノ

また、市民会館のピアノを使うことを伝えると「あそこのピアノは古くて調律が合わない。」「あそこでコンサートはやめた方がいい。」という声も複数ありました。しかし、実際に今回市民会館を訪れた人からは「素敵な建物だ。」「上手に使っていきたいね。」という声、またピアノを弾いた音楽家からは「とてもいいピアノで弾きやすい。」「何の問題もない。」という意見をいただきました。

この二つの出来事から感じたのは「人は自分と関係ないものにはネガティブである。」ということです。今回使用した市民会館ひとつとっても、それが良いものかどうかの基準はどこにもありません。その場合、「この建物はいい。」と言うよりも「この建物はよくない。」という声の方が強く出てくる。でも、自分がよくいく店や場所を悪くいう人はいません。そこを否定することは、そこにいく自分を否定することだから。つまり、市民会館に限らず、次第に古くなってくる建築や町並みを守るには、その場所を「自分の居場所」にしてもらう必要があるのだと感じました。

 

市民会館のピアノも、美しい装飾に混ざって違う表情に。窓の向こうに見える公会堂もいつか使いたい。

 

寺尾紗穂さん、れいこう堂信恵さんとのお話

今回のイベントでは音楽ライブのみならず、トークセッションも行いました。エッセイなど文筆業でも活躍する寺尾紗穂さんの音楽以外の側面にもぜひ触れてみたかったからです。もう一人対談のメンバーとして尾道から信恵勝彦さんを招きました。スーパーローカルヒーローという映画にもなった尾道の名物おじさんである信恵さん。震災後は福島からの保養受け入れにも尽力する、僕も本当に尊敬する大先輩です。お二人を交えてのトークセッションのテーマは「ちいさなこえのききかた」。ホホホ座メンバーの青砥くんが進行役となり、特に台本も無く、お互いの話に反応し合う形で和やかにトークは展開されました。助けを必要とする人の、小さくても確かにそこにある声にどのように耳を傾けていくか。寺尾さんは本を編む上でどのようなことを意識して活動を行っているのか。信恵さんが尾道で行う一連の活動の原動力はなんなのか。僕は普段既存の学校になじみにくい子どもたちの学校を運営しているので、教育の方面から思うことを。三者三様でありながらお互い繋がるところもあり、非常に勉強になりました。寺尾さんや信恵さんが普段考えていることに触れる機会はとても貴重なので、聞きに来てくれた皆さんそれぞれに、何かしら考えを巡らすものがあったのではと思っています。

テニスコーツとの街歩き

もうひとつ、音楽ライブ以外の試みが「テニスコーツと歩こう」でした。今治中心市街地をテニスコーツの二人と参加者で歩きました。いわゆる「観光名所巡り」ではなく、それぞれが面白いと思う町並みを自由に発見し、その人だけの地図に描いていく散歩です。市民会館を出発し、繊維問屋のシャッター通りを抜け、寺町を歩きながら海へ。途中地元のパン屋やお菓子屋で買い食いしたり、聞こえてくる木魚のリズムに合わせて小さく歌ったり。散歩中の風景全てが、テニスコーツの名曲「バイババビンバ」のMVの中に入ったような素晴らしい時間。最後に今治ホホホ座のビルの屋上から市内を見渡し、市民会館に戻りました。港や商店街など色んな所で歩きながら、座りながら歌ってくれるテニスコーツの音楽が今治の街に染み渡るようでした。

今治港付近のディープスポットを歩き回るテニスコーツと参加者たち。

 

招いたアーティストと地元の人で、ともに作る

今回のイベントでとても嬉しかったことは、地元の方々の力を借りてイベントを運営できたことです。市民会館の装飾は「幸せのオルオル花店」の白石さんと「古道具 onsa」の木本さんにお願いしました。二人が相談しながら作ってくれた舞台は市民会館のガラス張りの壁を背にとても美しく存在していました。テニスコーツとの散歩コースを決める際には「今治ぶらり バリブラ」の小池さんに力を借りました。2時間半に渡り一緒に歩いてコースを設定してくれて、たくさん説明もしてくれました。普段から交流のある皆さんと力を合わせて作った舞台に、寺尾紗穂とテニスコーツ、出店の皆さん、そしてお客さんがやって来てイベントが完成していく。その過程こそがとても大切だと感じました。音楽家やアーティストを街に招くということは、単に彼らの力でお客さんを集めることではなく、彼らにこの街を自分の住む街のように感じてもらい、共に面白いものを作り上げていくことなのです。それが出来れば、彼らは喜んでまたここへ戻って来てくれるし、「今治で面白いことをしたい!」と思ってくれる音楽家やアーティストは自然に増えていくと思います。「ぼくらの市民会館」は今後も続けていきたい企画となりました。実はもう次回へ向けて動いています。3月頃に開催予定!お楽しみに!

 

 

ホホホなイベント情報

『ASA-CHANGがやってくる!』
東京スカパラダイスオーケストラの創始者にして初代バンマス。ASA-CHANG&巡礼としての活動や、MISIA、UA、EGO -WRAPPIN’との共演など活躍中。最近ではNHK Eテレ「ムジカピッコリーノ」出演など多方面で活躍するASA-CHANGが①子ども達とタイコを作って楽しむ「タイコで遊ぼう!」と大人たちへ新しい楽器との出会いを提供する②「タブラボンゴを作ろう!&叩こう!」と二日間にわたるタイコを巡るワークショップを今治で開催!

①「タイコで遊ぼう!」
親子でタイコを組み立て、演奏を楽しみ、再び解体するまで行う楽しいワークショップ。
日程:2017年12月2日
時間:11:00~12:00
料金:2000円(親子1組)定員:40組
会場:みなとホール(はーばりー)
  (愛媛県今治市片原町1丁目1−27)

②「タブラボンゴを作ろう!&叩こう!」
ASAーCHANGが改良を重ねて生み出したオリジナル楽器「タブラボンゴ」を作り、叩くところまでがセットになったワークショップです!大人になってから新たな楽器にチャレンジしたい皆さんぜひ!
日程:2017年12月3日
午前の部:タブラボンゴを「つくる」11:00 ~ 12:30
     タブラボンゴを「たたく」13:00 〜 14:30
午後の部:タブラボンゴを「つくる」18:00 ~ 19:30
     タブラボンゴを「たたく」20:00 〜 21:30
料金:20000円(ワークショップ+楽器+スタンド+テキスト) 
定員:20名 
会場:今治ホホホ座( 愛媛県今治市共栄町1丁目3−3)
★本企画は中心市街地の助成事業であり、他地域で行う場合よりも低価格となっております。

※作ったタブラボンゴは当日お持ち帰り頂けます
※+4000円で楽器をシェアする形でのペア参加も可能です。
※小学生以下のお子様が参加される場合には大人1名の同伴をお願いいたします。
予約:i.hohoho.za@gmail.com
予約方法:お名前(ふりがな)・参加希望WS(「タイコで遊ぼうor タブラボンゴWS)」・参加人数・タブラボンゴWSは時間帯(昼or夜)をメールにてお知らせください。
問い合わせ:090-8479-0140(担当:豊島)

豊島吾一

豊島吾一

学校になじみにくい子供のための学校「今治高等学院」の学院長。音楽フェス「ハズミズム」の代表、「今治ホホホ座」共同代表。スティールパンバンド「minamo」のリーダーで今治の雑貨店「うお駒」の従業員。面白そうなことを全部やるべく、とっ散らかった日々を送る。

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