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COLUMN
2018.02.05

ホホホな日々 vol.9[writer]豊島吾一

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バロンと世界一周楽団のライブを振り返る

1月13日、今治にとても素敵な楽団がやってきた。その名は「バロンと世界一周楽団」。男性5人女性1人の6人編成で、浅草からニューオーリンズまで繋がるどこまでも楽しく、時に切ないステージが魅力の楽団である。

ハズミズム2015でもトップバターとしてイベントを盛り上げてくれたバロンと世界一周楽団。今回が今治では初となるフル編成でのワンマンライブとなった。使用した会場は「明星4階キャバレー跡」。あまりに素晴らしかったこのライブを振り返ってみたいと思う。

 

 今治明星4階キャバレー跡

今治の明星キャバレー跡といえば、知る人ぞ知る今治の昭和遺産である。

カラオケランド明星は、僕が中学生の時であるから、つまり25年ほど前に、初めて歌いに行ったカラオケボックスである。今治の中心市街地にあり、もちろん年数を経てきたうえでの老朽化はありながらも、今も若者からお年寄りまでカラオケを楽しめる憩いの場として営業を続けている。

そのビルの4階に、昭和の香りそのままに、かつてのグランドキャバレーが残されている。男女がイチャつけるように背もたれが高くつくられたボックスシートや、今は動きが悪くなり少しずつしか回転しないミラーボール、前にせり出す構造のステージなど、会場のいたるところからかつての賑わいを感じることが出来る。

当時を知る人の話では、背中に羽を付けたショーの踊り子さんが忙しく行き来する姿が、開け放たれたビルの窓から見られたそうで、濃厚な夜の世界を感じることのできる場所だったのだろう。

 

 キャバレー明星を一夜蘇らせる

2010年から1年に一度、このキャバレー明星をキャバレーとして蘇らせる試みを続けている。当時「つむぎの村の祭り」を一緒に運営していた直美キャンベル(茶舗 de la música店主)と僕は、中ムラサトコ、チェリータイフーン、バロンなかざわというメンバーで行うイベント「ムーンライトサーカス」で初めてこの場所を借りた。その時の集客は50人ほどだったと思う。

キャバレー明星の雰囲気にすっかり魅了された僕らは、高知のシンガー矢野絢子やトランぺッターの黄啓傑、ベーシストの工藤精などが参加し発展していく「ムーンライトキャバレー」で、スタッフも出演者もお客さんも一体となり、年に一度この場所に一夜の熱狂を蘇らせてきた。音楽だけでなく劇やパントマイムなどを組み込んだ独特かつ強烈なインパクトのあるイベント「ムーンライトキャバレー」はキャバレー明星の名前とともに評判となり、2016年にフィナーレを迎えるまでには毎回100名を超す予約で満席となる人気イベントになった。

 

 コンテンツとの相乗効果で「場」が輝く

ムーンライトキャバレーがフィナーレを迎えて以降初めて、キャバレー明星跡を使ってのライブを開催した。それが「バロンと世界一周楽団」のライブだ。このライブの企画が立ち上がった時、会場は明星しか思い浮かばなかった。それくらい会場の雰囲気と彼らの音楽はピタリとフィットしていた。大体いい企画というのは、賑わう当日の様子がはっきり思い描けるものなのだ。

あらゆる場所に、その場所が持っている記憶がある。企画をその記憶に添わせることで、その場所は本来の輝きを放つことが出来る。

「キャバレー明星」と「バロンと世界一周楽団」が絶妙にマッチしたこの日のライブは、どちらが欠けても成立しない特別なものになった。0歳から80歳くらいまでの老若男女が入り混じって踊る光景は素晴らしかった。キャバレー明星のオーナーは「階段を下りていくお客さんたちがみんな楽しかったと言っていた。場所を貸した僕も嬉しい。」と言ってくれた。

今回は前日に宣伝カーを走らせてもらった。バロンくんがこの日のために吹き込んだ宣伝文句を流しながら、今治中を車で周ってくれた渡部さんは、かつてこのキャバレーでドラムを叩いていたらしい。「ライブがとてもよかったよ。」と嬉しそうに伝えてくれた。かつての明星の姿を知る人にそういってもらえて本当によかった。

前回のコラムからもつながるのだが、この街をどう遊ぶかは、結局この街の何をどう見ているかに掛かっているのではないだろうか。僕らが生まれる前から繋がってきた街の歴史やそこに住む人の歴史、その表情や言葉に目を凝らし耳を傾けて、そこから次の新しい街の在り方へと繋げていけるかは僕ら次第なのだ。

キャバレー明星が存在する限り、この場所とともに輝くことのできる企画を大切に続けていきたいと思っている。

(写真提供:山田しげる、鈴木悠太)

 

 

 ホホホなイベント情報

『ぼくらの市民会館・春』
今治の中心地に音楽・ワークショップ・マルシェ・古本市が集合!
丹下健三氏設計の建築『今治市民会館』でみんなで遊ぼう!

2018年3月18日(日)10時ー20時
会場:今治市民会館

【LIVE】16:00-20:00
出演:トクマルシューゴ 王舟
料金:前売り3000円 当日3500円
予約:i.hohoho.za@gmail.com / 090-8479-0140(今治ホホホ座)
※メールでの申込は件名に[ぼくらの市民会館ライブ]と明記の上、お名前(フルネーム)・お電話番号・チケット枚数をご記入いただき、上記アドレスにお申し込み下さい。

【TALK SESSION】13:00-
「ちいさな町のあそびかた」
ゲスト:森本アリ(旧グッゲンハイム邸管理人・音楽家)
料金:無料 

【WORKSHOP】10:30-12:00
コマドリアニメのワークショップ(要予約)
ナビゲーター:JARI+JARI , hanbunco
予約:otocodomo@gmail.com
料金:1500円(親子1組)・定員20組

【MARKET】 
大三島みんなの家(今治)・Pokopan(今治)ホホホ座尾道店コウガメ・浮雲書店(松山)・蛙軒(松山)・汽水空港(鳥取)・VEGRECA(松山)・暮らしの道具小粒舎(松山)and more!!

【INFO】
今治ホホホ座 i.hohoho.za@gmail.com / 090-8479-0140

豊島吾一

豊島吾一

学校になじみにくい子供のための学校「今治高等学院」の学院長。音楽フェス「ハズミズム」の代表、「今治ホホホ座」共同代表。スティールパンバンド「minamo」のリーダーで今治の雑貨店「うお駒」の従業員。面白そうなことを全部やるべく、とっ散らかった日々を送る。

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