えひめ 街の魅力に気づくサイトマチボンヌ

COLUMN
2018.10.01

ホホホな日々 vol.15[writer]豊島吾一

  • twitter

ぼくらの市民会館・秋

今治市には世界的な建築家であった丹下健三が設計した建築がいくつも残っている。父親の故郷であった今治で小学校・旧制中学校時代を過ごしたという縁があってのことだ。その中でも一番市民が利用しているのは「今治市庁舎本館」、つまり市役所であろう。

同じ敷地内には1000人ほどを収容できる今治市公会堂があり、幼稚園のクリスマス会や演歌歌手のコンサートなどが開催されたりしている。そして、同じ敷地にありながら恐らくもっとも注目を浴びていない建物が「今治市民会館」である。「市民会館」がどこにあるかさえ知らない人が結構いるのだ。

僕もこの建物にはほとんど入ったことが無かったのだが、2年ほど前からここで開かれる会議に顔を出せてもらう機会があり、その存在を改めて認識した。建築について何か語れるほど詳しくはないのだが、派手さはなくともコンクリートで出来た木造建築を思わせる梁や、鉄製の窓枠が作る模様の美しさが印象に残った。聞くといままでに何度か解体の話も出ているとのこと。そんな話も、というかこの建物に関するどんな話も、市民にはあまり届いていない様であった。実際僕も訪れるまで何の思い入れも無かったが、一度足を運んだら、ここでなにか面白いことがやれそうな予感がした。

今治市民会館はその名の通り市民のための会館なのだから、市民が力を合わせて、かつてない方法で使用し、「遊び」を通してこの建築がもつ可能性を探ってみたらどうだろうか。それは街作りの基本にあるべき「継承と変化のバランスを考えること」に通じるのではないかな?と始めたのが「ぼくらの市民会館」というイベントである。

そして、今日ご紹介するのは「ぼくらの市民会館・秋」!昨年の続きをやろうというわけだ。

 

⬇️動画は前回の「ぼくらの市民会館・春」の様子。ぜひご覧あれ。

 

寺尾紗穂と冬にわかれて

今回も内容盛りだくさんのイベントになっているのだが、最後に音楽ライブを行うことは共通している。音楽には立場も考えも違う人々を包む力があるから、いい音楽をこの場所で鳴らすことは外すことのできない大切な要素だ。そのライブには昨年に引き続き寺尾紗穂さんをお呼びした。昨年のライブで市民会館と寺尾さんの相性というか、不思議な佇まいの良さを感じたからだ。

寺尾さんはシンガーソングライターとしても確固たる評価を得ており、文筆家としても活躍している。特に最近は音楽も書籍も継続的に良作を発表しており、出す作品それぞれが注目されている。昨年、その彼女がバンドを組むということで、これまた大変話題となった。

伊賀航とあだち麗三郎。

寺尾さんと、近年の彼女の活動を支えてきたともいえるこの二人の音楽家で組まれたバンドが「冬にわかれて」だ。バンドの名前からして素晴らしいなと思う。

伊賀航さんは細野晴臣さんや星野源さんといった音楽家とも活動するベーシストとして知られている。僕の印象では、音のあるべき場所に、あるべき音質・音量・長さでピタリと音を置いてくれるベーシストだ。その落ち着いた佇まいもこのバンドに安定感をもたらしていると思う。

一方、あだち麗三郎さんは人気バンド「片想い」のドラマーでもあり、シンガーやサックス奏者としても活動する個性的なマルチプレイヤー。「冬にわかれて」の中では、シンプルかつ遊び心のある愛らしいドラムの音を披露しており、寺尾さんの歌と響き合っているような感じがある。

こんな3人が組んだバンドが素晴らしくないはずがない。さらに今回は「冬にわかれて」としての1stアルバム発売を目前に控え、会場での先行販売も予定する絶妙なタイミングでのライブとなった(ほんとに偶然に!)全国でも他に先駆けてのレコ発ライブであるし、このバンドではなんと四国初ライブ!これだけ揃えば見逃し厳禁でしょう!

脇道の歩き方を考える

音楽だけでなく、多様な楽しみ方を実践するために、今回も素敵なゲストを招いてのトークセッションを用意している。

ゲストのお名前は尹 雄大 (ゆん うんで)さん。関西学院大学文学部を卒業後、テレビ制作会社を経てライターに。政財界、アスリート、ミュージシャンなど約1000人 に取材。主な著書に『脇道にそれる』『やわらかな体と言葉のレッスン』『体の知性を取り戻す』『FLOW 韓氏意拳の哲学』などがある。

今回のトークのテーマは初回と同じく「ちいさなこえのききかた」。副題は尹さんの最新作のタイトルでもある「脇道にそれる」だ。この本のおわりで尹さんは『「あれかこれか」の片側ではなく、「あれ」と「これ」のあいだにまず注目すべきではないか。』と述べている。これはまさに昨年のトークの中で尾道れいこう堂の信恵さんが発した言葉でもある。

二つの異なる立場の間にあるもの、それに対する興味、そして安易な解決に頼らないこと。このあたりの話を前回からさらに深めて、新しい景色まで、尹さんはもちろん、聴きに来てくれたみなさんと一緒に行けたらいいなと思う。

写真:田中良子

えんげきワークショップで子どもの表現を広げよう

今回の見どころの一つでもあるのが、午前中に行われる子どものためのワークショップ。想像力を働かせてなんと「市民運動会」を表現していく!競技内容は「見えない縄で大縄跳び」、「おそいもの勝ちの3m走」など聞いただけでワクワクするものだ。

ナビゲーターは劇団250km圏内。2013年に演出家の小嶋一郎と女優の黒田真史が立ち上げた劇団。 演出の小嶋一郎は『日本国憲法』で京都芸術センター舞台芸術賞2009大賞を受賞している。最近では「観て、考えて、話す」ための上演活動のほか、演劇ワークショップなどを行い、今年から活動拠点を今治市としている。ホホホ座としてもこれからたくさんの活動を一緒にやっていきたい素敵な劇団。

彼らがナビゲートする「子どもたちが演劇を通して、見えないものを想像すること、友だちと恊働すること、からだを使って表現することを体験できる」ワークショップにぜひご参加頂きたい。

 

縁のあるお店が作るその日だけの空気感

音楽フェス「ハズミズム」で、ある編集者の方から「こんなに素敵なお店ばかりのマルシェエリアは初めて来ました!」と嬉しい言葉を頂いた。

マルシェエリアというのはイベントのもうひとつの「核」とも言える重要なものだ。並んでいるお店を見れば、そのイベントが目指しているものは一目瞭然。いわばお店の内装のようなもので、その店が選んでいるお皿、カップ、テーブル、椅子、カトラリーに至るまで、全てがそのお店を表現しているように、マルシェエリアはそのイベントを表現する。

さらに、ただお店の商品で出店者を選ぶだけでなく、お店同士の関係性まで気を配る事で、なんとも言えない一体感が会場を包むことになる。その一体感はこういったイベントを作り上げる上で欠かせないものだ。

というわけで、今回も最高なお店が並ぶ市民会館のマーケットにはぜひお立ち寄りいただきたい!どのお店も商品はもちろん、店主さんの人柄も素敵なので、買い物だけでなく、会話も楽しい。ライブの時間以外は無料で入場できるのだから、こりゃ来ないともったいないですよ!

【よいどうぐ】
onsa・BRIDGE・小粒舎・ArlingtonRow・網の店おおやま・あかねいろ社
【おいしいもの】
206TSUMAMU・大三島みんなの家・POKOPAN・三浦菓子店・うたたね農園・Cafe彩色-iroiro 

※追加・変更の可能性もあります。

高松の人気のキッシュ専門店「206TSUMAMU」もやってきます!

 

使ってみてわかること

今治ホホホ座では毎月のようにライブやワークショップが行われているが、公共スペースを使ってのイベントというのは客層がめっきり変わる。過去2回の「ぼくらの市民会館」には普段のイベントでは顔を見かけない方々がたくさん来ていた。

誰でも入っていい雰囲気。これにおいて公共スペースには大きなアドバンテージがある。もちろん「安全第一・苦情の出ないように」をベースにした制約も多いが、その分、まだまだ使い切れていない余白もたくさん残っていて、使う度に新たな発見がある。

おそらくお客さんもそうで、一度では見えなかった市民会館の魅力が何度か訪れることで見えたり、「自分だったらこう使いたい」みたいなイメージが湧いたりするのではないだろうか。

それはこの建物に限った事ではない。

たくさんの人が訪れて、それぞれ趣向をこらしながら使っていくことで、街も建物も磨かれていく。「建てる」と「壊す」のあいだにある「使う」をもっと考えながら、この街で暮らしていきたいものだ。

とにかく、10月14日(日)は今治市民会館へどうぞ遊びにいらしてください!たくさんの「楽しい!」や「おもしろい!」や「美味しい!」や、それでは表現できない感動がお待ちしております!

 

ホホホなイベント情報

 

『ぼくらの市民会館・秋』
日時:2018年10月14日(日)
開館:10時00分 閉館20時00分

丹下建築・今治市民会館にて寺尾紗穂、伊賀航、あだち麗三郎によるバンド「冬にわかれて」のライブ!作家「尹雄大 (ユン・ウンデ)」さんによるトークセッションや「劇団250km圏内」による演劇ワークショップを開催!美味しいものやよい道具も大集合!

◯音楽ライブ 18:00-20:00
出演:冬にわかれて(寺尾紗穂・伊賀航・あだち麗三郎)
料金:前売り3000円 当日3500円
予約:i.hohoho.za@gmail.com / 090-8479-0140
【チケット設置店】(今治)アポニー・ROKUSAN・オオカミ珈琲・BAIKAL・パティスリークラーベ・大三島みんなの家・onsa(松山)MOREMUSIC・浮雲書店・リコスイーツ・暮らしの道具小粒舎・BRIDGE・ArlingtonRow(西条)Waltz&de(新居浜)アンジュール+(高松)206TSUMAMU

◯トークセッション 13:00-
「ちいさなこえのききかた~脇道にそれる~」
ゲスト:尹雄大 (ユン・ウンデ)
進行:青砥穂高、、豊島吾一(今治ホホホ座)
料金:無料 

◯ワークショップ 10:30-12:00(対象:子供・親子も可)
えんげきワークショップ 「ぼくらの市民運動会」
ナビゲーター:劇団250km圏内(小嶋一郎、黒田真史)
予約:i.hohoho.za@gmail.com
料金:500円

◯マーケット 
[よいどうぐ] onsa 、BRIDGE、ArlingtonRow、小粒舎、網の店おおやま、あかねいろ社
[おいしいもの] 206 TSUMAMU、POKOPAN 、うたたね農園、三浦菓子店、大三島みんなの家、Cafe彩色-iroiro-

NEW!!追加企画!! 
◯丹下建築プチツアー 15:30-16:00ころ
ナビゲーター:大野順作(大野順作建築研究所)
今治市に研究所を構え、たくさんの受賞歴を誇る建築家・大野順作さんに、「今治市役所・公会堂・市民会館」の3つの丹下建築を巡りながらその魅力を語って頂くプチツアーを行います。
料金:無料

★「ぼくらの市民会館・秋」イベントページhttps://www.facebook.com/events/275419793274045/

【INFO】
今治ホホホ座 i.hohoho.za@gmail.com / 090-8479-0140
主催:ART ACTION IMABARI by 今治ホホホ座
※本企画は「今治市民がともにおこす街づくり事業」の助成を受けています。

豊島吾一

豊島吾一

学校になじみにくい子供のための学校「今治高等学院」の学院長。音楽フェス「ハズミズム」の代表、「今治ホホホ座」共同代表。スティールパンバンド「minamo」のリーダーで今治の雑貨店「うお駒」の従業員。面白そうなことを全部やるべく、とっ散らかった日々を送る。

HP
facebook https://www.facebook.com/imabarihohoho/
instagram https://www.instagram.com/explore/tags/今治ホホホ座/