えひめ 街の魅力に気づくサイトマチボンヌ

COLUMN
2019.02.04

ホホホな日々 vol.17[writer]豊島吾一

  • twitter

新年から咬みつき始める。

年が明けて、うとうと過ごしているうちに既に月末。1年の12分の1が終わろうとしているわけだ。ひえ〜〜〜。2019年は中ムラサトコさんがナビゲーターを務める、親子で楽しむアートワークショップ「ししまつり」でスタート。

造形作家の富久千愛里さんも加わり、ダンボールや紙コップやシールなどなど、色んな材料で獅子を作る。完成したらそれを身にまといながら商店街を練り歩き、そこで出逢った人に福が訪れるように咬みつかせて頂くというおもしろ企画!思ったより順調にかっこいい獅子が出来上がり、迫力満点の舞いを披露する子供たち。さあ、商店街に乗り込もう。

ホホホ座から徒歩2分で到着した日曜の今治商店街。誰もいない〜!遠くの方に人影はあるけど、遠過ぎる・・・。遠ざかる獲物を諦めるチーターを想像する。

こうなったら近くの店内に進入して咬みつくのみ!サトコさんの叩く太鼓の音に合わせてみんなで商店街を練り歩き、我々の存在に気づいて、なんだなんだ?と笑っているお店の方々に「それいけ〜!」と攻めこみ咬みつかせていただく。みんな咬まれながらとっても嬉しそう!乾物屋のおばあちゃんは芋菓子をくれたりして、子供らも大満足。

ぐるりと商店街を一周して、ホホホ座に戻り用意していたお餅をみんなで焼いて食べる。食べても食べてもおかわりを要求する子供たち。すごいエネルギー。どんどん減って行くお餅を見ながら、今年も楽しくなりそうな予感でいっぱいに。

空想しよう!そうしよう!

「とにかく商店街のシャッターを開けてくれ。」この言葉がこの空想の始まりだった。

今治商店街は典型的なシャッター商店街となっている。もちろん様々な方の努力で夏の土曜夜市や商店街で行われるマルシェなどはすごい人手だ。でも、何もない日にSNSにアップされる写真はやはり誰も歩いていないこの街の姿を映している。一度人通りの少なくなった場所にお店を出し、それを維持していくことは本当に難しいのだ。

地域おこし協力隊で今治商店街に赴任している越智弘子さん。街のイベント情報を取りまとめて掲示したり、自分でもアロマのワークショップなどを開催している活動的な女性。彼女が冒頭の言葉を市役所の担当課から投げ掛けられたらしく、今治ホホホ座で「何かアイデアないですかね〜?」と相談を受け、ああでもない、こうでもないと話し合ったあと、商店街のシャッターの前を歩いて帰りながらふと思った。

「このシャッターの中、何があるんやろ?」って考えるの楽しいな。

そうや。「あそこにあんな店があればいいな。」とか「こんなお店があったら面白いな。」とか、そういう空想そのものをお店にしちゃうのはどうだろう?シャッターを開ければ、現実にはあり得ないような不思議なお店がお客さんを待っている。みんなの空想でできた商店街。そう「空想商店街」を作ったら面白いんじゃないか?

 

 地元の力とアイデアと

アイデアが出て、それを商店街という場所で実行するにはたくさんの方の理解と協力が必要になる。中でもシャッターが閉じている店舗のオーナーさんの協力は不可欠。長く閉じていた店舗の中にはたくさんの備品などが置かれていたりして、オーナーさんはその場所を貸すことに抵抗があることも予想出来るし、それも当然だと思う。まずは借りれる場所を当たってみる。越智さんが商店街で地道な活動を続けてくれたお陰で「貸してもいいよ」と言ってくれるオーナーさんが複数現われる。普段から地域の方と挨拶したり、コミュニケーションを取っておく事はとても大切だし、まず何より気持ちがいいものだなと改めて思う。

続いてシャッターの中で展開するコンテンツを考える。今回は初回ということでシャッターの中がどうなっているか予想がつかない。臨機応変に会場を装飾したり、スタイルを変えられる方に声をかける。

幸いハズミズムや今治ホホホ座の活動を通して、すぐに相談に乗ってくれる素晴らしいアーティストたちと繋がりがあり、二階堂和美さんの衣装も手がける服飾デザイナーPOTTOさんによるリメイクワークショップやハズミズムの装飾もお願いしているkodomoさんによる鳥をテーマにした創作ワークショップが決定。越智さんのアイデアで親子の前髪カットワークショップも行うことになり、京都からホホホ座の本家も招くことになった。こうしてコンテンツはどんどんと埋まっていった。

今回のMOTOTAMAYAには京都からホホホ座もやってくる!

 

プレイベントを通して

借りることの出来る店舗の中でもっとも広くて、掃除や装飾に時間がかかりそうな物件が「宝石の玉屋」だった。ここを他の店舗の掃除と同じタイミングで整えるのは難しそうだし、一体どのくらいの手間と時間が掛かるのか予想もつかない。

そこでこの玉屋でプレイベントを行い、先に仕上げることで全体のスケジュールを予測し、調整することにした。松山の浮雲書店と蛙軒という二つの書店と大島を拠点にするこりおり珈琲で架空のブックカフェ「MOTOYAMAYA」を作りあげる。

玉屋の奥には外からは予想もつかない立派な庭付きの日本家屋が眠っているのだが、問題はその庭の木々を伐採した際にでた大量のゴミが、シャッターの中に山積みになっていることだった。これを片付けないことには何もできない。今治高等学院の生徒とホホホ座のメンバー、越智さんと市役所職員で果てしない掃除に取り掛かる。

トラックでクリーンセンターに木材を運びつつ、床を掃き、拭き、水をまき、拭く。鼻の穴が真っ黒になるほどの土埃。めげずに作業を続けていると、普段閉じているシャッターの前を近所の人が珍しいそうに覗き込んだり、「何が始まるの〜?」と興味を持って話しかけてくれて励みになる。

そうして迎えたプレイベント当日は、同じ日に人気イベント「まちなかマルシェ」も開催されていたこともあり多くの人手で賑わい、年明けの本番にも期待がもてる結果となった。特に嬉しかったのは、準備段階からちょくちょく様子を覗きに来てくれた自治会長が「わしも本番には出店してみるわ!」と声をあげてくれたことだった。こうやってそこに住んでいる方が面白がって参加してくれることで、空想商店街は本当の意味で出来上がっていくのだ。

天井全体を150mの布で覆いテントの中のような雰囲気に。

譲り受けたピアノを使いたい

こうして色んな方が協力して少しずつ準備を進めてきたイベント「空想商店街」が2月9日と10日にいよいよ開催される。二日間に渡るイベントの最後に、今治ホホホ座の企画で「VISAGE」という閉店して以来使われていないデパートの一階を一日お借りすることが出来た。僕が高校生だった頃、VISAGEはたくさんの若者がお洒落して出かける場所だった。このデパートの閉店は大丸の閉店と同じくらい衝撃的な出来事だった。

VISAGEを設計したのは「ぼくらの市民会館」で丹下建築ツアーもお願いした大野順作さんだ。「僕にできることは協力します。」と言ってくれた大野さんが設計したこの建築に、僕がかつて通っていた今治幼稚園から譲り受けた古いグランドピアノを運びこみ演奏会を行う。出演は尾道を拠点に活動するピアニスト、トウヤマタケオさんと松山が誇るハッピーなダンスカンパニーyummydanceから宇都宮忍さんと合田緑さん。3人はこの公演のためにオリジナル作品を作ってくれる。

これまでの活動で緩やかに繋がってきた縁が、不思議な力で一箇所に集まっていく。こういうイベントはきっと奇跡的な時間が流れるのだ。ぜひたくさんの方に今治商店街に足を運んでいただき、それぞれの空想を育ててもらいたいと願っている。

ホホホなイベント情報

今治商店街の港寄り、本町一丁目の空き店舗に、ちょっと変わったお店が集まる「空想商店街」が2日間限定でオープン! !
シャッターを開けて、楽しい空想を広げよう。空想商店街へいらっしゃい!


■出店:ホホホ座(書店)・POTTO(洋服リメイク)・kodomo(変身グッズ)
大谷亮治・猶子(子どもカット)・こりおり珈琲(カフェ)…and more!

■会場:今治商店街(本町一丁目商店街)
■無料駐車場:旧美須賀小学校(今治市黄金町1-9)
■ワークショップ:
《POTTOのリメイクワークショップ》
『気に入ってるけどちょっと不便な服に ちょっと手を加えてもっと着やすくする』
ポケットを付けたり、丈を短くしたり長くしたり、リブを付けたり…。お手持ちの服を少しリメイクすることで着やすくて新しいものに作り変えます。作り変えたい服をお持ちください。
◎リメイクワークショップ(2,500円)
10時〜/11時〜/12時〜/13時〜/14時〜 各回定員1〜2名

《kodomo》
『鳥の洗濯屋さんワークショップ』
雨に降られて 日に照られ風に吹かれて 海渡ってもみたり鳥も羽も大忙し。ここらでちょっと 羽を休めて気分を変えて 虹色に染めて オシャレして飾って 大丈夫になったらまた 飛びたとう!(ポンチョの形の布を、染めたり切ったり描いたり、想い想いの鳥つくりです)
◎鳥の洗濯屋さんワークショップ(800円)

《大谷亮治・大谷猶子》
『Sunday Barbers 〜親子の前髪ワークショップ』
すぐに伸びてしまう子供の前髪、おうちでカットしている方も多いはず。前髪って、それだけで印象が決まる大切なパートだけど子供のヘアカットって難しいですよね。
「ギザギザな前髪ってどうやったらできるの?」「斜めになっちゃうのは…?」「うちの子くせ毛だから…」「どこからが前髪?」そんな疑問、質問を実際に前髪をカットしながらお答えします! パパやママがお子さんの髪をそれぞれの髪質やくせに合わせておうちで前髪を簡単に再現できるようにプロの技を教えますね。
◎アドバイスと前髪カット(10時〜12時 500円)
(13時〜シャンプーなしキッズカット 1,000円 ※シャンプーなし大人カット 1,500円)

■投げ銭イベント
日程:2019年2月9日(土)
会場:MOTOTAMAYA(今治市本町1-1-11)

1)ライブ(12:00〜13:00)
《スティールパンバンド「minamo」ライブ》
県内唯一のスティールパン バンド「minamo」やってくる! 中南米の楽器が奏でる陽気な音色を楽しもう!

2)トークイベント(14:00〜15:00)
《「ホホホ座のある街」ホホホ座×今治ホホホ座》
全国に7つある「ホホホ座」。ホホホ座って何? 街で何をしているの? 京都の”本家”ホホホ座から山下賢二氏を迎え、ホホホ座が各地で発信する楽しい仕掛けをお話しします!

山下賢二
1972年京都生まれ。21歳の頃、友達と写真雑誌『ハイキーン』を創刊。その後、出版社の雑誌編集部勤務、古本屋店長、新刊書店勤務などを経て、2004年に「ガケ書房」をオープン。2015年、「ガケ書房」を移転・改名し「ホホホ座」をオープン。著書として『ガケ書房の頃』(夏葉社)、『やましたくんはしゃべらない』(岩崎書店)、『シティボーイは田舎モノの合言葉』(のほほん製作所)、編著として『わたしがカフェをはじめた日。』(小学館)、『焙煎家案内帖』(東急ハンズ) など。
——————-
■問い合わせ:
TEL 0898-35-5712 (今治市地域おこし協力隊 越智弘子)
主催:今治商店街協同組合
後援:今治市
企画・運営:今治市まちなか活性化サロン ぷらっと、今治ホホホ座
——————-
■2019年2月10日(日)同時開催:
廃デパートと古いピアノの演奏会
「タケオとヤミーの今治で逢いましょう」



長い間眠ったままの百貨店「VISAGE」を会場にした演奏会。かつて今治の賑わいの中心にあったこの建物に、新しい光を灯します。
出演:トウヤマタケオ、yummydance
会場:旧VISAGE 1階(今治市本町1-1-18)
開場:16:30〜 開演:17:00〜
料金:前売り 2,500円、当日 3,000円(ドリンク別)
チケット取扱い:アポニー、うお駒、まちなか活性化サロン ぷらっと

豊島吾一

豊島吾一

学校になじみにくい子供のための学校「今治高等学院」の学院長。音楽フェス「ハズミズム」の代表、「今治ホホホ座」共同代表。スティールパンバンド「minamo」のリーダーで今治の雑貨店「うお駒」の従業員。面白そうなことを全部やるべく、とっ散らかった日々を送る。

HP
facebook https://www.facebook.com/imabarihohoho/
instagram https://www.instagram.com/explore/tags/今治ホホホ座/