FLOWER & GREEN花と緑 『楽園を巡る旅』後編 - マチボン

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2023.06.29

FLOWER & GREEN花と緑 『楽園を巡る旅』後編[writer]ハタノエリ

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FLOWER & GREEN花と緑 『楽園を巡る旅』後編

 

はじまりは、かつて松前町に存在した愛媛亜熱帯植物園。一本のヤシの木に魅せられ、私財を投じて植物園を開園するまでに至った男がいたらしい。エキゾチックでどこか甘美なネーミングの植物園が愛媛に存在したなんて…。数年前にすべて伐採されたそうで、一度でいいから行ってみたかった。…いや待てよ。他にもこの街には楽園が残っているのでは? 我々がまだ知らない、楽園を記録として残さねば! それが今回、僕たちが旅に出た理由です。昭和感(開園は平成ですが)が色濃く残る懐かしい植物園から、九龍城を思わせる菖蒲園、石鎚山系の山奥に現れた幻の湿原に、果てはポップアートを思わせるフラワーショップまで。幻想の花と緑の楽園を巡る旅に、ボン ヴォヤージュ!

 

暮らしと植物をつなぐ 山と街の、それは楽園。

 

花と樹の楽園を探す旅の後半は、暮らしと植物をつなぐ場所をめぐりたい。真っ先に思い浮かんだのが、伊予市の「なかやまフラワーハウス」。国道56号から脇道に入り、ぐるんと山を登ると、高さ20メートルもの温室があらわれる。まるで森の中に大きな温室を隠しているかのように突然に。温室の中はさらに異空間。ヤシやブーゲンビリア、マンゴーなど、熱帯の植物がダイナミックに植えられている。気持ちが、晴れる。

 

 

22年前、旧中山町の農業研究センターとしてオープンしたのがそのはじまり。6年後、田下賢策さんが館長になり改造に乗り出した。「予算がなかったけれど、どうにか足を運んでくれるような植物園にしたくて」。あちこちの植物園を見学し、自分たちの手で植物を植えていった。温室の中にはカフェもあり、地元の人たちはここでお茶をするそうだ。それにしても、山間地で巨大な温室を営みながら入館料フリーとは。「人様にお金をいただくほど手を入れられてないので」。誠実な館長の言葉が、やわらかく胸に届く。温室に流れる平和な空気は植物だけではなく、営む人の気持ちもきっと乗せている。

 

 

 山中の楽園を後に、街中の楽園を求めてグリーンショップとフラワーショップの名店を訪ねた。松山市の「MEIJIEN」(めいじえん)は、クールな三角屋根が目印。

 

 

細いアプローチを進むと、奥に大きな温室がある。吊るすものから、ぐんと見上げる高いものまで、いろんな観葉植物が生きている。5代目の和泉光浩さんは、植木屋からスタートした100年以上つづく家業を引き継ぎ、観葉植物の店にした。

 

沖縄や静岡など生産者の元にも足を運ぶ、愛媛のグリーン界のパイオニア。彼の元で育つ緑は生命力があり姿もいい。選ばれる、緑の楽園だ。  

 

 

最後に訪れたのは、宇和島市の和霊神社近くにある「Flower shop Poppy」。吉田町の商店街にあった生花店を移転し、二宮祐介さんと志乃さん夫妻が切り盛りする。

 

 

庭にある桜の巨木を囲むようにベンチがある。店全体がアートのようなハイセンスな空間なのに、だれにとっても心地よく、ひらかれている。Poppyは、みんなの楽園。幸せそうな顔をした「カラジウム」を手に取った。楽園のかけらを、旅の思い出に持ち帰ろう。

 

 

 

今回、巡ったスポット

なかやまフラワーハウス
主に多肉植物を販売している。館長、スタッフで育てた多肉植物はめずらしい品種も多い。「植緑祭」をはじめ、イベントも開催している。
伊予市中山町中山戌723  ☎:089-967-5020  休:月曜休※月曜が祝祭日の場合はその翌日 営:9:00〜16:00 駐車場:有

 

MEIJIEN
店舗や企業などからのオーダーが多く、取材日も新規オープンのオーナーが店舗の植物の相談に来ていた。一般の方の購入ももちろん可能。
松山市此花町8-15 ☎:089-921-0077  休:11:00〜18:00 営:日・月曜  駐車場:有

 

Flower shop Poppy
生花、花の苗、観葉植物、多肉植物、ドライフラワーなど多様に扱う。アレンジセンスも秀逸。コーヒーなど、カフェメニューもある。
宇和島市御幸町1-6-11  ☎:0895-49-9000  休:火曜、第3日曜 営:9:00〜18:00 駐車場:有